商船三井ケニア社
2024年7月31日

商船三井グループのアフリカ初の自社倉庫であるナイロビ倉庫を視察

     商船三井グループは、1926年に日本の海運会社初の、日本とアフリカ東岸を結ぶ航路を開設し、以降現在に至るまで、アフリカ発着の海上輸送を行ってきました。 また近年では、海上輸送だけでなく、航空輸送のフォワーディング事業、陸上輸送、倉庫事業、日本の中古農機輸出事業などの分野にも事業を展開しています

     そして、2023年7月、アフリカにおけるグループ初となる自社グループ運営の倉庫の営業をナイロビで開始しました。

     今回、現地レポを実施しましたので、その様子をお届けします。

商船三井、ケニアで倉庫事業をスタート!

     2023年7月に運営を開始したナイロビ倉庫は、ケニア最大の国際空港ジョモ・ケニヤッタ空港から車で15分ほどの距離にあります。

また、モンバサから来た貨物鉄道がコンテナを降ろす内陸コンテナデポ(Inland Container Depot)と隣接しています。

さらに、渋滞が問題視されるナイロビの中で渋滞がない地域に位置しながら、かつ街の中心地に近いという、国際物流において非常に便利なロケーションに建てられた倉庫です。

倉庫内は1,500ラックと床置きスペースの広さがあり、その管理状態の高さから、食料や医薬品取り扱いの免許も保持しています。

医療用品・医薬品等の医療製品の取扱いには、厳格な基準があり、医療現場の顧客ニーズに対応した安全且つ高品質の輸送・ロジスティクスサービスの提供が求められます。

商船三井グループの今回のナイロビ倉庫は、その厳格な基準を満たしているとの評価を受けました。

ケニアには数多くの倉庫が存在していますが、その品質管理の状態の悪さが問題視されています。そこで、商船三井は、日本の品質管理の高さを生かした倉庫の運営を開始しました。

医療用品とメーカーとの業務提携も実現

また2024年1月、アフリカを代表する医療用品メーカーであるRevital Healthcareと、ケニア・モンバサ経済特区での医療用品・医薬品の物流センター建設に向けた戦略的提携についての覚書を結び、今後モンバサに新たな倉庫を構える計画が進められています。

現在、サブサハラアフリカには、医療用品を保管しておける高い保管基準を満たす倉庫が存在せず、多くの商品がアフリカ外で組み立てられています。

またRevitalがケニアで製造した医療用品の中には、一度アフリカ外へ持ち出し保管され、再度アフリカの需要地へ運ばれている商品もあります

今回、モンバサに医療用品の保管基準を満たす新たな倉庫を建てることで、サブサハラ内に商品を保管することができるようになり、より迅速・低コストで医療用品を届けることができるようになります。

モンバサでの倉庫建設が、アフリカの医療水準の向上、物流課題の解決に繋がることが期待されます。

現地訪問!実際の倉庫の凄さを体感!

5月某日、Africa Questのメンバーでナイロビの倉庫を訪問しました。

倉庫運営代表者のDivyeshさんに案内され、倉庫内を見学しました。

倉庫内で話をしている制服を着たDivyeshさんと数名のスタッフ。背景にフォークリフトと倉庫の入口が見える。

倉庫内は綺麗に整理され、天井まで伸びる巨大なラックが設置されていました。

倉庫内の棚に積み上げられた段ボール箱のパレット。商品のラベルが見える。

それぞれの区画はアルファベットと数字の組み合わせで分類され、多様な商品がそれぞれ保管されていました。

倉庫内には、高度な品質管理を理由に取り扱いが認められている医療薬品も大量に保管され、訪問当日には2,000もの薬が保管されていました。毎日各お店から合計200件ほどの依頼が来るらしく、2つのチームに分かれて出荷品をダブルチェックして発送しているそうです。

カラフルな商品が整理された棚。手前に梯子が見える。
倉庫内の作業スペースで働くスタッフと机に座る人々。

また医療薬品以外にも、太陽光やキャンプセット、ドリンクなども保管されていました。

Divyeshさんによれば、出荷スパン(頻度)の異なる多様な商品を取り扱うことで、倉庫内を満杯にすることなく常に余裕を持たせて回していけるのだといいます。

作業台の上に配置された太陽光パネルを操作している男性。
倉庫内に高く積み上げられたソーラーパネルのパッケージが並ぶ棚。

また隣の倉庫に移ると、大量の砂糖とメイズが置かれていました。これらはサプライヤーを通して最終的に国連やNGOへと運ばれていくそうです。

困難な状況に置かれる多くの人に提供するものだからこそ、高い品質管理が求められます

倉庫内に積み重ねられた青と緑の袋の壁。トラックが近くに停車している。
倉庫内で撮影された集合写真。背景に積み上げられた袋の山が見える。
商船三井グループの方々にインタビュー!

倉庫を案内していただいた後、オフィスにて東アフリカ代表の大山幹雄さん、ジャパンデスクの篠﨑貴司さんにお話を伺いました。

大山さんと篠﨑さんがAfrica Questのメンバーにインタビューを受けている様子。明るい部屋で笑顔で会話をしており、机の上にノートとペンが置かれている。

● 本日は、倉庫内の見学をさせていただき、ありがとうございました。

商船三井の今回の倉庫は、品質管理の高さが強みになるというお話をされていましたね。

これまで、日本の強みとされるきめ細やかさは、海外においては強みとはならないという話をよく聞いていたので、今回の倉庫では日本の丁寧さが強みになるというのは興味深いです。


○ 篠﨑さん:そうですね。日本ではどの倉庫でも必ず取り入れられているWMS(Warehouse Management System)が、ケニアの倉庫では有効的に活用できていない場合やそもそも使用していない場合があります。

正直、ケニアに来るまでは、マニュアル管理の倉庫などあり得ないと考えていました。私たち日系の倉庫にとってはシステム管理は当たり前のことですが、それを文化や倉庫管理の基準が大きく異なるケニアで実施するのは非常に難しいです。また、「品質の高さ」という点では、「物が壊れない・なくならない・衛生的である」ということが重要です。これができていない倉庫が多いため、在庫管理が行き届き、清潔に保たれている私たちの倉庫はケニアで高く評価されています。

実際のところ、日本のノウハウをそのまま持ち込んだわけではなく、倉庫運営の経験が豊富なDivyeshが徹底して作業員を教育することで、お客様にご満足いただけるレベルに達してきました。アフリカでは当たり前のことをやり遂げるのが難しいため、それを徹底できれば大きなバリューになります。もちろんスタッフはケニア人ですので、それをしっかりと伝えて教育していくことは簡単ではないですが、今のところうまくいっています。


● 普段の整理整頓だけでなく、自然災害への対応という点でも品質管理は難しいと思います。ケニアの今年の雨季は、記録的な大雨でしたが、倉庫内の商品は大丈夫でしたか?


○ 大山さん:幸いなことに、多くの地域が浸水被害に遭う中、我々の倉庫は被害に遭うことがなく商品が全て無事でした。水はけがよく、高さもあるためでしょう。今回のことで、これからの商品管理により自信を持つようになりました。


● 倉庫からすぐ近くのジョモケニヤッタ空港でも浸水の被害の話が出ていたので、ここの倉庫の商品が全て無事だったというのは驚きです。雨季の被害がよく報道されるケニアで、今回の雨季もものともしない倉庫というのは魅力的ですね。

大山さんと篠﨑さんが会議室でインタビューを受けている様子。手元に青いノートが置かれており、リラックスした雰囲気。

● 今回、日本企業の商船三井がナイロビに倉庫を持つことで、他の日本企業に対して与える影響はあると思いますか?


○ 大山さん:日本企業がアフリカ進出を考える上で、信頼できる、保管できる倉庫がないというのが進出の足枷になっていることがあります。

我々が質の高い管理ができる倉庫を新たに持つことで、日本企業もより安心して進出がしやすくなるのではないかと考えています。


● まさに、アフリカにおいて日本企業がビジネスをするためのインフラ整備をしているといった感じですね。今後、モンバサにも倉庫が建つそうですね。


○ 大山さん:はい、現在のナイロビの倉庫は800㎡×2なのに対し、モンバサの倉庫は4万㎡を予定しています。モンバサは東アフリカの最初の入り口とも言われるため、ケニア国内だけでなくタンザニアやウガンダなど近隣諸国へ運ばれる商品も取り扱うことになるでしょう。我々の倉庫でハイクオリティな保管をすることで、それらの国の人々もより高品質な商品を手に入れられるようになるでしょう。


● モンバサ倉庫ではアフリカ大手の医療用品製造会社Revital Healthcareと提携を結んでいますね。それについて、より詳しいお話を聞かせてください。


○ 篠﨑さん:はい、今は中東のドバイからアフリカ各地に必要な医療器具注射器・採血管などが送られていますが、それをモンバサ拠点でやりたいというのが今回の話です。モンバサで、医薬品のリパッケージング、医療器具のキッティング、ウェアハウジングをやろうとしています。また基準の厳しい医療器具と薬品を取り扱うというのは、品質の高さを保証する一つの指標ともなっており、我々の倉庫の品質管理の高さを表しています。


● 今回、ナイロビ・モンバサと倉庫を構えていくことで、今後会社全体として焦点をアフリカに移して行きたいというお考えはありますか?


○ 大山さん:マーケットの規模と経済水準を考えると、当社グループのロジスティクス事業にとって現在のフォーカスはアジアです。しかし、アフリカにも早めに入って知見を蓄えていきたいと考えています。日本企業でもアフリカ進出を果たしている企業はまだそれほど多くないため、早く参入して、早く成長したいという思いがあります。経済成長×人口増加で、アフリカにおいて物流は必ず伸びてきます。今後伸び続けることが確実なアフリカの物流に先に進出できたのは強みだと思っています。


● それは非常にワクワクする取り組みですね。本日はお忙しい中、ありがとうございました。


掲載のお知らせ


    2024年7月31日に、弊社の事業がAfrica Questに掲載されましたのでお知らせいたします。
    アフリカ初の自社倉庫であるナイロビ倉庫についてご紹介いただきました。
    「Africa Questの記事ページ」を是非ご覧ください。

    ■掲載サイト名
    Africa Quest
    掲載サイトURL: https://afri-quest.com

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